2014年10月2日

精神分析トゥィーティング・セミナー:フロイト・ハイデガー・ラカン,29 September 2014



29 September 2014 : 転移と逆転移; 転移と知の仮定的主体; 分析の終わりと転移の解消.

逆転移について : Lacan の教えのなかには逆転移という概念はありません.なぜなら,Lacan は転移を「知の仮定的主体」を基軸として徴象の次元において思考するからです.

それに対して,非ラカン派の分析家たちは,影象の次元において,a - a' の関繋,つまり,自我-他者の鏡像的関繋のなかで,転移を捉えます.そのような鏡像的関繋においては,転移には必然的にその鏡像として逆転移が伴います.

非ラカン派の分析家たちにとって逆転移が厄介なものであるのは,彼らがこの転移・逆転移の影象的関繋の袋小路にはまってしまい,右往左往,四苦八苦しているからです.

他方,Lacan の教えに正しく準拠するなら,そのようなことは起こりません.

そもそも,Lacan が徴象の次元とそこにおける承認の重要性を強調したのは,影象的・鏡像的な転移・逆転移の関繋における攻撃性,敵対性の袋小路から分析的関係を救い出すためでした.

転移は,構造 a / φ において,主体の存在の真理の座 φ に知 S2 が仮定されること,すなわち,知の仮定的主体 le sujet supposé savoir によって規定されます.

分析の終わりにおいては,能動者・支配者の座から徴示素 a が罷免され,症状が解体するに伴って,その a が支えていた知の仮定も無効になります.つまり,転移は解消されます.

しかし,それはひとつの徴示素 a に関してです.何年にも及ぶ分析の過程においては,症状の解体は何回も起こります.あるいは,フランスのように多くの分析家がいるところでは,ひとりの分析家との分析が終わったら,次は別の分析家と分析するということもあります.たとえば,男性分析家との分析が終わったら,次は女性分析家と分析する,ないしその逆の順序で,ということもありえます.分析家がかわると,転移もまた新たになりえます.

最終的にすべての徴示素 a を罷免することはできるのか?という問いは,正しい問いの立て方ではないと思います.なぜなら,復活においては,新たな徴示素 a が創造されるからです.たとえそれが S(Ⱥ) そのものであれ.

復活においては,創造が成起します.Joyce Finnegans Wake ほどの規模のものではないにせよ.

どれほど徹底的に教育分析を受けた分析家でも,新たに転移の関繋に入ることはありえます.たとえば,Lacan に対する転移.あるいは,神に対する転移.しかし,それは,その分析家が分析家の言説の構造において分析家として機能することを妨げるものではありません.

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